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済州戦と柏戦。浦和のサッカーができなかったのか、しなかったのか

大逆転と敗北の間に見えるもの

33得点15失点とACLアウェイ戦での敗戦から

 6月4日Jリーグ14節唯一のナイトゲーム。柏レイソル対浦和レッズは、1-0でホームの柏勝利を飾り、リーグ8連勝とその好調を堅持した。
 柏は前線のプレッシングから始まる堅守速攻。鋭いカウンターが持ち味の若いチームだ。

 一方、昨季はCSで敗れたものの年間最多勝ち点でシーズンを終えた浦和レッズ。ミハイロ・ペトロヴィッチ体制のもと、6シーズン目を迎えた今シーズンはアルビレックス新潟からラファエル・シルバを獲得するなど、リーグ最強といえる選手層でスタートした。開幕戦に敗れその後6勝1分。以降、9節大宮アルディージャ、10節鹿島アントラーズ戦と0-1で敗れ、11節新潟に6-1と大勝するが、12節は昇格組の清水エスパルス相手に3-3と引き分けた。
 この12試合で、得点は実に33を積み上げたが15失点(1試合平均1.25点)は34試合28失点(1試合平均0.82点)という昨シーズンの失点数と比べると、明らかな違いがある。もちろんそれはネガティブなものだ。

 5月24日、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)、ラウンド16第1戦。韓国の済州ユナイテッド戦では鮮やかなカウンター攻撃を許し、開始早々と終了間際に失点をしている。この試合、いつもの3-4-2-1とは違う3-5-2というフォーメーションで戦ったが、早い時間の失点にプランは崩れ、攻め急ぐあまりに攻守のバランスが悪い試合となった。

 試合後の選手たちは、改善点を口にするばかり。ホーム第2戦での「3ー0」での勝利が義務付けられた。

 そして、5月31日に行われたACLラウンド16の第2戦。延長戦までもつれ込んだものの浦和は3-0で勝利し、大逆転でベスト8進出を果たした。先制点を決めた興梠(慎三)が試合を振り返る。

「みんながハードワークした結果。向こうはカウンターを徹底してやっているので、そこだけはやらせたくなかった。(ボールを)獲られたヤツがすぐに獲り返すくらいの気持ちで戦おうと話していた。最終的にファールになったとしても止めようと。それがうまくやれた、こっちの戦略通りに戦えた」

 前線からプレスをかけて、相手の攻撃を限定する。そうすることで、守備陣は守りやすくなる。センターバックの遠藤が言う。

「前の選手の攻守の切り替えがとてもは速かったので、後ろはすごく(プレーが)狙いやすかった。(リーグ戦で)失点が多いというのは、後ろの選手として責任を感じていたけれど、サッカーは11人で戦うものだから。そのへんもこちらから求めていかなくちゃいけない。今日の無失点は大きな自信になるし、ここからリーグ戦でも失点が少なくなればいい。点も取ってくれたし、守備でもがんばってくれた前の選手には本当に感謝しています」

次のページらしさを出さずに試合に入った柏戦

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寺野 典子

てらの のりこ

1965年兵庫県生まれ。ライター・編集者。音楽誌や一般誌などで仕事をしたのち、92年からJリーグ、日本代表を取材。「Number」「サッカーダイジェスト」など多くの雑誌に寄稿する。著作「未来は僕らの手のなか」「未完成 ジュビロ磐田の戦い」「楽しむことは楽じゃない」ほか。日本を代表するサッカー選手たち(中村俊輔、内田篤人、長友佑都ら)のインタビュー集「突破論。」のほか中村俊輔選手や長友佑都選手の書籍の構成なども務める。


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